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ベルリン国際映画祭66 その1
今回で三度目の参加となったベルリナーレ、短編部門で上映された作品について幾つか記しておきます。

金熊賞を受賞したLeonor Teles監督の”Batrachian's Ballad”。
「かつて動物たちは仲良く暮らしていました。ところがカエルだけがパーティーに呼ばれることがなく、カエルは悲しみのあまり自殺してしまいました」てな感じのナレーションで始まる映画。ポルトガルにおけるロマをカエルと重ね合わせて映画化したという事らしいが、監督自身が、街中のデパートや土産物屋に商品として置かれているカエルの置物を、こっそり外に持ち出しては叩き壊す(おそらくゲリラ撮影と思われる)という行為を繰り返していく。カエルを壊すことが自由や解放を象徴しているのだろうか?そして監督は可愛らしい少年のような若者だとずっと思っていたのだが、最終日、監督が女性であると言う事に気付く。もしも監督が、セクシャル・マイノリティとして生活しているとすれば、カエル=ロマ=監督自身という構図も浮かび上る。(現在のポルトガルがセクシャル・マイノリティをどう受け入れているのか知らないので個人的な想像でしかないが)
この作品が金熊を受賞した事に納得できるかというと、正直難しいところだが、三名の審査員による決定がいかなる理由によるものなのか、わたしには知る由もない。

銀熊のMahdi Fleifel監督の”A Man Returned”は、レバノンからイタリアへ難民として渡った男が難民認可されず、再びレバノンへ戻り結婚式を上げるというドキュメンタリータッチの映画。レバノン生まれでロンドンで映像を学んだ監督本人のバックグランドと共通するのだろうが、この監督、2年前には長編 ”A WORLD”がパノラマ部門で上映されている。

そしてアウディ賞を受賞したChiang Wei Liang監督の”Anchorage Prohibited”は台湾の労働移民問題をテーマにした映画。固定カメラでこれでもかと言うくらいの長回しのカットが続くのが印象的。美しい画が一層、移民の家族の孤独感を引き立てている。ベトナム、フィリピン、タイ等からの移民問題は深刻化しているようで、確かに今の台湾社会を反映したテーマと言えるだろうし、移民側から見た内容という点でも評価されたかもしれない。Chiang監督は上映前に劇場の入り口に立ち、入場者に挨拶をするという徹底ぶり。わたしの顔を見ると、手をとって「日本のアニメーションの監督ですね、昨日見ました!」と声をかけてきた気さくな若者で、受賞後のスピーチもドイツの難民問題に触れ、アジアもドイツを見習うべきという発言で優等生ぶりを発揮していた。

さて、以上の三作品に共通するのは、難民(移民)がキーワードとなっていること。長編の金熊がまさにアフリカ難民をテーマに描かれた作品なだけに、まるでそれに習ったかのような印象だが、勿論現在ドイツはその難民の受け入れ問題で大きく揺れており、今後メルケル政権がどう対処していくのか注視されている。今年の映画祭は巨大なマーケットであると同時に、国家をあげてのプロモーションの場と化したかのような印象であった。

そしてマーケットにもプロモーションにもまったく関係ない我々は、何事も無く無事に帰国したのであった。

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by mangost | 2016-03-07 20:10 | Film Festival
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